マニラへの旅 其の壱 – 最初の夜の最高なご飯


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WordPressとの距離感

前述の通り、素敵な友と時間を共有するのが主目的だったため、行こうと決めた当初はWordCamp Asia 2025に参加するのは私の中で目的ではなくオプションでしかなかった。友人のLTの応援ができて、久しぶりのみんなに会えてハグできたらもう十分かな、ぐらいに思っていた。

というのも、ピザの上のバナナ問題があって、私のWordPressへのモチベーションは地の底より低くなっていたからだ。

そもそも彼の人のご乱心の前から、ここ数年、私のメインのビジネスはWordPressではないため、Gutenbergプロジェクト自体への興味と素敵なコミュニティの人たちと関わりを続けたい気持ちがあるだけで、この数年どういう関係性が良いのかと考えあぐねているような状況だった。そうして、年末のSotWでMatiasさんから直接、論理プロパティなど新しい機能についての前向きな反応が聞けて、じゃあもうちょっとだけ頑張ってみるか、と思った矢先のしばらく開発止まるよ宣言。もう、どんな気持ちでコントリデーに望んだら良いのかも分からない。ご飯と観光にかけるしかないね、と冗談めかして笑ってみるしかない。

そんな後ろめたいような気持ちもあったのと、行くのを決めたのが遅めだったのもあって、ほかの人に合わせることもせず、安くてきれいそうなZipair Tokyoに決めた。成田の早朝便なので前泊しなければいけなかったのだけれど、その宿泊費を入れてもJAL様ANA様よりも数段お安い。直行便なので遅延トラブルも致命的にはならないし。5年前の私よりは少しだけ旅慣れた分ちょっとだけ頑張ってみた。

成田は斯くも遠く

WordCampの前にいつも大体、日本語圏メンバーのグループメッセンジャーが立ち上がって気がついたら招待されているため、開催数日前から通知が賑やかなのはいつものことなのだが、今回は飛行機に乗り遅れたり、ブースのスワッグが税関通るか不明だったり、現地に着く前からのドラマが凄くて仕事やパッキングをしていると度々飛んでくる通知にハラハラするほどだった。

前乗り組がなんとかマニラに到着できた知らせを眺めつつ、2025年2月18日、フライト前夜、確実に十年以上ぶりの成田へ電車で向かう。大寒波で凍えるホームからスッカスカの総武線の東西線直通に乗り込んで即ウトウトしていたら同じ頃に帰宅する夫が人身事故、といっても線路で動かない人が居たという話だった、で1時間以上足止めを食らってしまってるとのこと。結局、私が成田のホテルに到着するのと彼の帰宅がほぼ一緒だった。

そのせいで成田の遠さがさらに強調されてしまったのと、駅名をちゃんと確認せずに千葉に入った辺りぐらいの気持ちで居て危うく乗り過ごしそうになった冷や汗もあって、飛び立つ前からやっぱり羽田が良い…と涙目になりつつ今夜のお宿のマロウドインターナショナルホテル成田へ到着。古いけれど、アメニティがちゃんと揃っててクラシックで安心して過ごせて、出立前に素泊りするなら十分なリーズナブルさ。既に眠くてしょうがないのを堪えてサンドイッチを激混みのホテルのコンビニで買い、暫くバスタブが無いぞと思ってめんどくさいのを堪えてお風呂に入ったら即寝したので、廊下の海外勢の話し声とかもあんまり気にならなかったというのはある。

鏡の前で自撮りする私。白いキャップには「HYSTERIC」の文字が入っており、厚着をしている。大きなスーツケースの上にさらにバッグを載せ、旅行や移動の準備をしている様子。スマホを構え、ショルダーバッグや三脚付きの撮影機材も身につけている。背景には木製のドアが映っている。
ホテルを出る前。もこもこ。

哀しいかな早起きは年々得意になっているため、翌朝問題なくシャトルバスへ乗り込み、北ウィングってどんなイントロだったっけ、と眠い頭で考えながら新調した真っ白なスーツケースを押してだだっ広い空港の構内をただただ歩く。全く映画感の無い白々しい早朝の空港は印象が無さ過ぎてほぼ覚えていない。構造的や掲示デザイン的にちょっと迷いやすいような気はした。

1つ印象的だったのが、Zipairカウンター上の電光掲示板の表示に、手荷物には荷札?か何かが必要、とデカデカと書かれていたのを読んで不安になり、一回列を離れて念の為にスタッフに確認してしまった。結果問題なかったのだが、カウンターの手続き作業の後に付けてもらう荷札についてそこに書くのはUXがおかしいのではなかろうか。ほかの航空会社ってあそこにそんな表示あるっけ…?とかぶつくさ思ってしまったのはお腹が空いているせいだと思って買っておいたサンドイッチを列に並び直しながら頬張る。お行儀が悪いけれど不機嫌になるよりはまだマシと言い訳しながら、昨日の夕方に家で淹れてきた珈琲の残りをがぶ飲みし、保安検査場でApple Watchを外し忘れて止められてペコペコしながらあのよく分からない次のエリアにまろび出る。

実際に転んでは居ないけれど、保安検査場での人間扱いされなさに毎回ちょっぴりずつSAN値を削られる思いがする。あの冷ややかさというかお荷物扱い感が、耳栓をしていてもしんどい爆音と共に飛行機での旅の苦手な部分だ。はやく無人化できないものだろうか。

幸い、16番ゲート手前には広くてキレイで、イマドキジャパンデザインな快適な作業スペースがあったので時間までちょっと集中して仕事をする。たぶんまともに仕事をしたのはこの旅の中でそこだけだったかもしれない。

そういえばZipairにはアプリがあって、モバイルチェックインが出来ると書かれていたので何度かトライしたのだが、アプリからだとパスポートの読み込みにエラーが出てうまく行かず。試行錯誤の末、ブラウザ版のほうで読み込みに成功してなんとか出来たのだけれど、あれをクリアできる人は世の中に何人居るのだろうか。それともたまたまの不具合だったのか。

いざマニラへ

いざ機内に乗ってみたらめちゃくちゃ快適だった、と感じたのは3列席の真ん中が空いていたというのも大きいかもしれないけれど、4-5時間のフライトあれば問題ないスペースと、追加料金ナシでまともに使えるWi-Fiが有り難かった。動画などは厳し目だけれど、yarn add が普通に動いたので十分といって良いだろう。

IPAIRの機内で提供された食事。折りたたみ式のテーブルの上に、白い箱に入った「Filling pork cutlet sandwich(カツサンド)」が置かれている。横には「い・ろ・は・す」のペットボトルの水、カトラリーのセット、ナプキンが並んでいる。座席のポケットにはノートPCが収納されており、機内のシンプルなデザインの内装が背景に見える。

機内食に選んだサンドイッチはとても普通。というかサンドイッチにしたのすっかり忘れていて朝もサンドイッチを選択してしまっていたのでそのせいかもしれない。もそもそ頬張りながら旅のお供に選んだ小説を暫く読み進める。フィリピンのセブ島を舞台にしたお話は一人称に癖がちょっとあり過ぎる以外はとても鮮やかな描写で引き込まれる。気が付けば着陸態勢のアナウンス。

窓の外はもう曇り空ながら暖かそうな色の海が見える。すごく遠浅のように見えたが、まあ日本沿岸に較べれば大体が遠浅の海だ。寒い寒いと思っていたはずだったがいつの間にかぬくい空気のニノイ・アキノ国際空港第一ターミナル。ぽややんとした頭を切り替えられないまま人の流れに乗っていたら混雑したイミグレエリアに到着してしまった。どうせ長い距離を歩かされると思って途中のトイレに寄るつもりだったのに。

ともかく早く着替えたいので、係のお兄さんに専用レーンの事を質問しようとしかけたら「Are you Japanese?」と聞かれこちらの質問に耳を貸さずに翻訳機でe-travelが必要だということを伝えようとしてくる。いや流石にそれは知ってるんだけれど。根っからの日本人なのでそういう態度だけで普段ならすぐに萎縮してしまう処だが早く着替えたい気持ちが勝り、もう一度、強気モードで問いかけると外交官レーンへ無事案内してもらえた。

外交官レーンなんてこの先通ることほぼないだろう。という野次馬根性もあったが、表示以外は普通のイミグレと特に何も変わらなかった。日本でもどこでもそうだけど、顎で指示して言葉すら発しないのはどうかと思うが日がな一日対応している側のことを考えたらまあしょうがないよね、とは思う。普段はフレンドリーでおしゃべりな人でも同じ仕事をしたら喋らなくなるのだろうか。

暑いとはまだ全く感じていなかったのだけれど、気がついたらしっかり汗の染みてしまっていたヒートテック一式を脱ぎ捨てて荷物を受け取りに向かう。ウルトラライトダウンから一気に肩出しランニングスタイルになってスッキリするも何だかちょっとそわそわする。そういえば現地の人あんまりランニング見なかった気がする。薄着なんだけど肩を出してる人が少なかった気がするんだけれど気のせいだろうか。

こもすた?

と、荷物係のお兄さん?おじさん等から人生初の生タガログ語を感知!はっきり何を喋っているかまでは分からないが明らかにタガログ語(かタガログ語に似た現地の別言語かもしれないけれど)を喋っているのは分かってちょっと感動する。おお。来たぞ初フィリピン!こもすた?

そういえば最初のイミグレ前のお兄さんも愛想は良かったし、スーツケースを降ろすのを手伝ってくれる優しいお兄さんとか、Grabまでの道を案内してくれるお兄さんとかどちらもお仕事ながら日本以上にメチャ親切だった。もしかしてチップとか必要だったかな?いや流石に違うよね…?とふわふわ思いながらホテルまでのGrabを呼び出しかけて大変なことに気がつく。ぁあああああ換金作業忘れてた…!慌てて戻りかけるも、ちゃんと教わった通り空港のドアから一歩外へ出るともう戻れない構造である。うわあ、やばい。

冷や汗をかきつつ売り込みのお兄さんたちを避けつつタクシー溜まりの隅っこでカード登録を済まして兎も角はホテルへ。Grabのカード登録が出来なかったら詰んでたなあ…。つくづく今回はahamoで良かった、これでeSIMトラブルまであったら涙目どころではなかったはず。ねえねえ、誰が旅慣れたですって?

そうして乗れたフィリピン初Grabのドライバーのお兄さんはこの旅一番のホスピタリティのある素敵な人だった。なんと幸先が良い。日本が大好きな彼の英語は概ね分かりやすく、タガログ語の挨拶を一通り習ったり、カジノやらカンファレンスの会場の位置を案内してくれながら楽しくお喋り出来て嬉しかった。ただ、whoの発音が全く聞き取れずに何度も聞き返してしまった。

今回の旅で思ったのだが私はフィリピンの人の英語の聞き取りが苦手かも知れない。もちろん人に寄るのだけれど、なんというか全体的につるっとしているというか抑揚が小さい?のかよく分からないが捉えにくいことが多かった。自分の発音の悪さを棚上げしすぎだし、そもそも大きなホールとかロビーとか音が反響しやすい場での会話の聞き取りが日本語であっても苦手なので大体がそのせいかもしれないけれど。ともかく何度も聞き返してしまったマニラの人たちごめんなさい。

以前はホンダだったか日本資本の現地企業に勤めていたらしい朗らかなお兄さんに日本でのお仕事が見つかるように祈りつつ、マニラでのお宿であるコンラッド・マニラに到着。セキュリティチェックがあるのにびっくり、ドレスを着た受付嬢が複数いるのにさらにびっくり。さすがファンシーホテル。たじろぎながらロビーで友人を待たせてもらったのだが入口だから空調がなかなか強め。むう。これはUSでのクーラー地獄再来、か?

ホテルのロビー。天井には大きな抽象的なアートインスタレーションが吊るされており、波のような形をした青と白のデザインが特徴的。床は大理石のような光沢のある素材で、数人の通行人。左側にはエレベーターが並び、奥には黒いドレスを着たスタッフの姿が見える。
ホテルの入口

さて、もう既にマアム、マアムと連呼されるのが擽ったい。これまでさーとかまむとか使ったこと無いのだけれど、よく考えたら私も現地で道行く見知らぬ人に話す時は使うべきだった気がする…。失礼な外国人ですみませんでした…。Helloというところも全部Hiと言ってしまうのも全く治ってない。丁寧な英会話を身に付けたい。

可愛いは正義、美しいものを愛でるのは人の常

ここまでで、普段は引き籠もりな中年女性である私はもうまあまあ疲れていたし、一日がほぼ終わった心地であった。オシャレすぎて椅子として使って良いのか分かりにくいどでかスツール?ソファ?に腰を掛け一休みしていると、シュッとした美人がやってきた。美人過ぎて見かけた瞬間からニヤけている自分を自覚しながら手を降る。

そうですよ、ここからが本番でした!持つべきものは美人の友!疲れが吹っ飛ぶ彼の人の笑顔。ああ、もう恋していると言ってもいい私のニヤけっぷり、思い出すだにデレすぎだった気がする。早速、着いた客室のフロアの表示デザインの欠陥に私より先にツッコむ真のデザイナー気質を持ちながらフロントエンドエンジニアとして大活躍中の彼女と過ごす5日間の始まりだよ!有難う神様!

すっかり気持ちが上がったところで、チェックインまで時間があるので荷物を預けて近くのモールへ。ただの暇つぶしのつもりで行ったのだが、全くもって私はフィリピンを舐めていた。ごめんなさい。

ホテルからモールまでの道が既に、テーマパークの、ミッキーが出てくるような隠し通路っぽくなっていて楽しい。まだ覚えている、クロノスとパンドラという神々しい店名の間の細い道を通り、本体らしき大きな建物までの道を見付けるのがちょっと分かりにくかった。基本的に案内図・見取り図らしいものが見当たらなくてマニラの人は迷わないのか疑問だったけれど、滞在中でも度々、右往左往している現地っぽい人を見かけたのでみんな大体迷ってると思われる。

そうして、数日前からマニラの別エリアに前入りして諸々調査済みだった彼女から、教えて貰ったSMモールを見つけたが最後、可愛いものが多すぎてほぼ1メートル毎にぎゃーきゃー言い過ぎて店員さんに引かれていた気はする。

特に、axcsというブランドがやばかった。これも彼女が先に見付けていたブランド。日本で買えないかなと思って軽くググってみたのだが、SMモールのサイトでしか見つからなくて哀しい。日本展開したらバズる可愛さだったと思うんだけどな。

SMモールのアクセサリー売り場「axcs」。店内にはイヤリング、ヘアアクセサリー、靴下などの小物が並び、中央のディスプレイにはブレスレットやピアスが整然と配置されている。赤い天井と白い看板には「women’s accessories」の文字が見える。

かわいいポーチからスマートウォッチまで、フィリピン「axcs」のライフスタイル製品 | マイナビニュース

によると、SMモールのプラベートブランドらしい。ガジェット系も可愛いかったのだが、靴下とかアクセサリー系も全部かわいい。日本からの影響ももちろん感じるけれど、日本だとなかなか大きくは展開しそうにない色使いやデザインとても面白い。

しかもだ。先日、予定外の出会いがあって服飾費の予算が無かった私の財布もついつい緩んでしまうリーズナブルさ。懸命に我慢した結果は、スカーフとヘアバンド、ちょうちょのピン。前の記事の写真のバックはなんとかこの日堪えたものの、結局翌日買ってしまったし。

シルク100%らしいスカーフは、うっかりすると5-6枚買ってしまう勢いでデザインが良く出来ていた。もう一度訪れる機会があったら絶対また買い足してしまう自信がある。庶民の手が届くよく出来たスカーフとして、トルコのスカーフが凄く好きだったのだが、フィリピンも穴場かもしれない。世界はまだまだ広い。

美味しいご飯の必須条件

思いがけず女子旅の醍醐味を初っ端から楽しめて時間を忘れそうになりつつ早速、そのスカーフを着けてディナーに向かう。渡航数日前に予約取れたから行く?と誘って貰ったディナーは、この旅の最大の楽しみだった。

賑やかなジプニーが行き交う通りを一歩入ったら空気が違った。東京にもたまにある、大通りから近いのにすっと喧騒から隔離された整った雰囲気の一角。店構えから、その期待を裏切らないどころか予想を超えた粋な風情。入る前から、ああこれは絶対美味しい、と確信しちゃうようなお店ってある。

toyoeatery.com は当にそうだった。予約してくれた彼女に寄れば、ウェブサイトの時点で確信があったらしい。さすが。

バナナの皮が敷いてあるテーブルを見ただけでウキウキしてしまう。そうしてプロフェッショナルな接客係のお兄さん、これまた素晴らしいホスピタリティで最高だった。食べる前から「美味しそう」ではなく「美味しい!」と言うのが次男のマイブームなのだが、彼の真似をしたくなった。

レストランの一角。大きなガラス窓の向こうには、オープンキッチンでシェフたちが料理を準備している様子が見える。手前には木製の椅子やテーブルが配置され、左側には伝統的なカゴや壺、赤い花が飾られている。黒い鉄骨の階段が空間にアクセントを加え、落ち着いた雰囲気を演出している。

初めてのフィリピン料理がなんとも幸運なことにココだったのでお店の味なのかそういう食文化なのかこの日は区別が付かなかったけれど、酢と控えめな甘みの扱いが絶妙で、もう最初から最後までやられっぱなしだった。今思い出すだけで涎が出てきてしまう。

お店の名前はフィリピンで醤油を指す言葉から付けられたらしい。だからだろうか、辛い味付けがほぼ無くて、私的には中華や韓国料理より日本に近い印象があった。もちろん中華も韓国料理も大大大好きなのは言うまでもないのだが。特に、後半のスープの旨味はまるで高級な梅茶漬けのような繊細で複雑な味わいで中々出会ったことのない種類のものだった。日本の割烹とか料亭で出てくるような出汁を感じるスープ。小魚をご飯の上にふりかけのようにして食べるのも日本との近さを凄く感じた、同じく島の食文化だからなのだろうか。そして、Piniritong Pataとして出てきた豚足の揚げ物は、全く臭みがなくて人生で一番美味しい豚足だった。あの揚げ方を知りたい。それを酢のソースに浸して食べるとか天才過ぎでしょ、フィリピンの人。他の国にもあるのかも知れないけれど好きだなああれ。Uber Eats出来ないかなあ。

ホテルの朝食そうだったけれど、兎も角、この「お酢のソース」が美味しくて最高だった。作り方を知りたいが材料が手に入らないかなあ?マンゴーとエビのソースのサラダも悶絶ものだったし、あれらが食べられるお店、東京にあるかなあ…。この歳まで、フィリピン料理を知らなかった半生を後悔してしまうほどの味。

余裕で人生での最高の5皿にランクインするほどめちゃくちゃ美味しかったので、一つも残したく無かったのだがお腹がはち切れそうになるまで食べても食べ切れなかったのが面目ない。それでも最後のデザートがするっと入ってしまったのがいまだ不思議。眼の前ですり下ろしてくれた不思議なお塩のかかったチョコレートアイスは有名パティシエの作品かと思うほどだったし、焦げたバナナの皮の香りがえも言われぬ餅状のお米のデザートも絶品。かつ何やら懐かしい。また来てね、とお土産のパンまで持たせてくれる最高のおもてなし。おもてなしは万国共通、日本の専売特許じゃないよねの気持ちになる特別な体験だった。

自他ともに認めるFoodieな彼女のお陰で最高な時間を過ごさせて貰った。そう、最高のご飯に欠かせないのは誰と食べるか、である。私をこの日のパートナーに選んでくれて本当に光栄でした、有難う!

この時はフィリピン料理のポテンシャルを全く知らなかった私、初日にこんなに美味しいご飯を食べてしまって残りの旅は大丈夫なのだろうか、という不安すら抱きながら幸福な夜を過ごしたのだった。

黒い壁に、不思議な顔のキャラクターや生き物のイラストが描かれたアートウォール。「PANADERYA TOYO」の文字が見え、店やギャラリーの一部のように見える。レンガの通路が奥へ続いており、雰囲気のある空間が広がっている。

(其の弐がやっとキャンプ本番…まで辿り着けるだろうか…)


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