知り合いに予算10万しかないんだけどWebサイト作ってくれる?って今言われたら貴方ならどうする?


こんにちは、mimiです。

20年近くインターネットの端っこで、Webデザイナー&Web開発者として生きています。といっても2022年の夏の今メインでやっているお仕事はネイティブアプリのUIデザインだったりします。ご要望に応じて色々やってきたタイプのWeb屋です。来年の今頃は何してるんだろうな。

そんな一端のインターネッツ老人会員として、先日、タイトル通りのツイートをしました。

https://twitter.com/miminari/status/1557652774665326592

まさかブログ記事にすることになるなんて、ツイートした段階では全く思ってもいませんでした。

そもそもこのツイートをした意図は、最近のWebサイトの予算感と期待値コントロールの話をWebデザイナーの卵の方たちにお話する時(今度実際にそういう機会があるので)にどういう風に伝えようかなあと考えていて、ふと書いてみたものでした。

普通に聞くより、投票型にした方が回答してもらえやすいかなと思ってやってみまして、まあフォロワーさん30人ぐらいに回答もらえるかなぐらいの心地だったのですが、具体的な金額を提示したことで回答しやすかったのでしょうか、回答数が300を越えてしまって想定圏外の方からも投票いただいたみたいでした、ありがとうございました。1週間はちょっと長すぎたかな。

回答数がというより、コメントを数件いただいてお返事を考えている内に、こりゃTwitterじゃ収まらねえとなりまして、ひさびさにブログをしたためてみました。

回答してくれた皆さん、コメントくれた皆さん、改めてありがとうございます。

回答数が増えていくにつれ、この中で実際に知り合いに10万でWebサイトをオーダーされた経験のあるお客様方はいらっしゃいますか?も同時に聞きたい心地になりましたが、実際どうだろうなあ。

私の妄想では、フォロワーの皆さんにはきっと多いだろうなと思っていまして。
その影響なのかは分かりませんが、やはり最初の回答率は「無料のCMSを教える(と言う前提で話を聞く)」またはその他、が多い印象でした。しかし、数が増えるにつれ「取り敢えず話を聞く(基本的に受託する)」が増えていきました。

取り敢えず話は聞いてみたいよね

まあ、でも取り敢えず、超忙しいとか余程苦手な人とかじゃない限り、話を聞きますよね。

https://twitter.com/kaaa_i/status/1557673867271110658

んだんだ。他の皆さんも書いてくださった様に、実際には「いや話を聞いてみないことにはなんとも」ですよね。

何せ知り合いですもの、指名して頼んできてくれた事に出来たらお役に立ちたいと思うのが人情でしょう。駆け出しの頃ならば尚更、Webサイト制作やってることを知ってくれてるだけでも嬉しいかもしれません。ちゃんとお金払うつもりでプロ扱いしてくれるの嬉しいと思う。

これが厄介な知り合い枠かどうかは別の問題が絡んでくるので一旦、不問に処しましょう。そもそも最初から明確な予算額を提示してくれているだけ、実はめちゃくちゃいいお客さんの可能性もあるかもしれません。

「自営でやっている仕事のWebサイトを作ろうと思って、自分で作れそうな情報を掴んでドメインとやらを確保しサーバーとやらにWordPressを入れて、良さそうな無料テーマを入れて数ヶ月頑張ってみたけれど、デザインがどうにも気に入らないから助けて欲しい」というケースもあります。実際ありました。

が、おそらく稀だと思われます。

予算10万の期待値は案外と大きい

予算10万を初期投資をみているか向こう3−5年ぐらいの全体予算と見ているか、でも全然変わりますが、大体は「10万ぐらい渡せば取り敢えず良しなにしてくれるだろう」と思っている人が大半な気がします、経験上。

https://twitter.com/tah_timing/status/1557922489954861056
https://twitter.com/mekemoke/status/1557658387201961984

そうそうなのって思いました。この、コスギさんの投稿、たぶんコスギさんも本当に10万では何もできないと思っているという意味ではなくて、その一番の主旨は期待値がたぶんとんでもないんでまずは落ち着こうね、ということだと思います。たあさんもきっとそうなんじゃないでしょうか。

予算10万で想定しているゴールがクライアントとコチラ側でてんで噛み合ってない(場合が多い)、ということが問題なんですよね。それをこちらが汲み取って解決するしんどさを、きっとたあさんは嫌というほどご存知なんでは。勝手に妄想で書いているけど。違ったらごめんなさい。

そしてその問題に最初はどちらも気付き難い、というトラップがあります。何度かやらかしたことのある人間なら、恐らくその気配を察知してヒアリングできると思うのですが、駆け出しの頃はきっと無理なんじゃないかなあ。

まあ、これ10万以下限定の話でも無くて、普段、大型案件しか相手してない人は数十万の案件でもそんな気配がします。慣れてないので期待値コントロールやクライアントのWebへの知識把握に失敗しちゃうやつ。慣れてても油断したらやらかしがちです。

大工の勉強しかしてないのにコンサルっていうか何なら人生相談までやる羽目になる問題

「予算感が全く分からない…」という話はこのお仕事をしていて、ずっと、クライアントからも同業者からもよく耳にします。私にも正直、適正価格がよく分からないなあと思うことがあります。

昔いた制作会社で、クライアントさんが大企業で間にコンサルタントが入っての(新規の立ち上げ)案件だと、当然のように一千万円超えからのお話になるんですよね。全体コストではなくて制作会社からの請求だけで。当然に人件費がそれだけかかりますし、責任の及ぶ範囲も違うので妥当だよなと今は分かるんですが、当時の未熟な私にはこんな普通のHTMLとCSSで出来たサイトにそんな価値があるんかなあとモヤモヤしていたことを思い出します。

車どころかほんとうの家が買えちゃうじゃん、と。もう15年以上も前の話で諸事情によりCMSが使えず今みたいにGit管理もされていない野放図な、かなりフレジャイルな作りだったので、余計にそこまでの価値なんてあるのかなあと思っていました。

15年以上経過しても、相変わらず迷走?し続けているように思えるWebサイト制作のお値段感。

昔からよくWebサイト制作はおうちづくりに例えられると思うのですが、おうちづくりと根本的に全く違う点は、無料からスタートしてスケールしていけるところかな、と。機会としては基本的には均等に設けられている(はず)のがWebの良いところだとも思います。(まあおうちも完全DIYからやろうと思えば出来なくはないかもしれませんが、無料の組み立てキット的なものなんて無いですよね。)

昔からそうだったのですが、今はより顕著に簡単になっていて。WixやSTUDIOなどで無料でも見栄えのよいサイトをぱっと作ったり、文才さえあればnoteで直ぐに発信できて、下手に自サイトを持つより簡単にリーチが取れる今、わざわざ誰かに頼んでお金かけてサイトを作る意味ってなんだろう?て処にキチンと言及して受注している処ってどれだけ居るんだろうなあと思います。

だって我々Webデザイナー(Web開発者)は、サイトを作るのが得意なだけでコンサルは本来の専門じゃないですよね…?おうちづくりで言えば大工さんの知識は豊富にありますが、コンサルタントの知識は本来そうないはず、です。で、大体がWebサイトが欲しいって言われたから取り敢えず作ったんだよ、という話になってしまう。

でも、多くのクライアントがまず欲しいのはWeb全般に強い相談相手なんですよね。チームでいうとPdMに当たる人ですね。

トンカチ持って構えてても相手がまず欲しいのは実は出店計画を一緒に練ってくれる相手だったりするわけです。相談者自身も最初はそんな想定ではなくても、WebサイトやWeb広報の知識が殆ど無いから10万という値付けが生じるわけです。その時点で、Webサイトの初心者講習会からスタートを余儀なくされる確率が8割ぐらいあります。

先に紹介したコスギさんは、その問題をちゃんと見据えてコンサルタントとしてお話を聞くよ、ということかなと思います。

というわけで、Webについて本気でコンサルタントできると今は昔よりさらにニーズがあるように思いますが、そもそもWebサイト制作やクリエイションに興味があって仕事にしようという人がコンサルタントにも長けているかどうかは其の人の素質に寄ります。其の上で、Webサイト構築のトレンド、Webのデザイントレンド、Web広報にSEOの最新情報、各種入り口だけでも全部追っかけるのは、それはそれで本当に大変。ブランディングとかマーケティングとかもいい出したらほんと無理ってなります。各言う私も見様見真似でやってきてはいますが、そろそろ限界では…と感じている処です。

CMSひとつとっても、あらゆるケースに最適な提案を出来る自信なんて一ミリもありません。いつも超手探り。そして10万の予算感は手探りをする余裕があんまり無いという問題も孕んでいます。

お知り合いのWeb屋さんには、コンサルタントに全振りしている人ももちろんいらっしゃって大活躍中の方もいらっしゃると思います。が、コンサルタントだけで食べていくのも凄く大変だと思うんです、主に価格設定がムズいから、よほど腕に自身がないとコンサルタント一本に絞るのは難しそうだなあと観測しています。なので、成果物として工数のかからないオーソドックスなWebサイトを添える作戦も全然ありなのではないかなと思います。それで大満足なお客さんのほうが母数としてはきっと多い気がしますし、まず一番大事なのはコンテンツがWebにあることなので。

担当したいのは賃貸のインテリア?量産型建売住宅?大手建築企業の注文住宅?それとも宮大工?相談窓口?メンテナンス?「Webデザイナー」の枠はまだまだ広い

言葉では同じく「Webサイトが欲しい」と言っていても、その内容はクライアントによって多種多様です。でもまだまだWebはニーズに対しての業界の細分化が未熟で、カタログ化されておらずミスマッチによる悲劇があちらこちらで聞かれます。

住宅展示場みたいなカジュアル合同相談会的なのがあればいいんですが、大体の安価で作られるWebサイトの場合ってヒアリングしてもらったが最後、その会社や担当者が得意な方針でWebサイトを作る話にしかならないケースが大半なのではないでしょうか。

お知り合いの会社ではヒアリングした結果合わないと判断されたら気前よくウチは合わないからちょうどいいと思う他所の会社さん紹介しますね、ってやってらっしゃる処もありますが、たぶん稀だと思います。クライアント側に立って考えたら、相見積り取りたくなる気持ちは全く分からなくもないです。

でも技術革新が早すぎて住宅展示場立ててる暇が無いんだわ、というのが実情な気もしますし、しょうがないのかなあとも思います。忙しい会社さんほど実績紹介どころか会社のサイトすらないとかもありますよね。

これは就職でも同じで、Webデザイナーをやりたいといって入った会社、入ろうとしている会社が、一体何を得意としている会社さんなのか、実際には入ってみなくちゃ分からないというブラックボックスな処があるなあと思います。

最近は技術ブログを出している会社さんも多いため、エンジニアさん的にはまだ分かりやすいかもしれませんが、本当に実践しているデザイン手法とかワークフローとかをきちんと提示できている会社さんはまだそんなにお見かけしないような気がします。私の観測範囲が狭いだけかも知れませんが。

実際にWebデザイナーの卵の人たち、駆け出している人たちにお伝えするなら「最初はどこでもいいから凸ってみよう!」ではあるのですが、業界の範囲が広すぎて想像していたお仕事が出来ないケースもたくさんある気がするので、ある程度最初から、何でもやります熱血タイプか、あの会社に入るぞ!と目標を定めるスナイパータイプか、自分で見定めておくと良いような気がします。

最近は日本でもインハウスのWebデザイナーさんも徐々に増えてきたような気配も感じるので、関わりたいサービスや会社があるなら凸ってみるのも手かも知れません。

かくいう私は、ただWebサイトを弄るのが楽しくてやってたらウチくる?って呼んでもらってそのままケ・セラ・セラで今生きているような人間なので、あんまりサンプルにならなくてすみません。

でも本来はそういう人のために動ける人間でいたかった気もするんです

実際、10万を握りしめて私を頼って来てくれた方に今の私だったらどう答えるだろうか、ということを思った時に近いお考えだなあと思ったのは、このお三方でした。

https://twitter.com/nukaga/status/1557920301035376640
https://twitter.com/bissybissy/status/1557710911061708802
https://twitter.com/PentaPROgram/status/1557660300471836672
https://twitter.com/PentaPROgram/status/1557660300471836672

そう、たぶん、知り合いだから受けてあげたいと思って、時間は捻り出すんですよね。でもれっきとした法人だったらたしかに躊躇ってしまうな、と。

まずはちゃんと話を聞いて期待値コントロールをしてみて相手にボールを渡して反応を見る。

そして、話を聞いた結果、Webサイトが正解じゃなくても付き合えるだけ付き合って提案してあげられる受け口の広い人間でありたいものです。Web周りと紙媒体までならなんとかいけるかなあ。

しかし私にはそんなに多様な実績もないので、もし本当に本気なリアルの看板とかパッケージデザインが必要そうなら実績と信頼のあるお知り合いを紹介する気がします。もちろん、看板とかパッケージのデザインやってみたいんですけどね。

だって個人の10万円って結構、大金でしょう?Switchを2台買ってもお釣りが来るんですよ。ちょっと足せば3台目も行けるよ(ゲーム脳ですみません)。

Webサイトって高い買い物だなあと思いませんか?其の上、2−3年したらメンテナンスしないと、とか言われちゃうんですよ。Web屋やってるから自分で自分のWebサイトを発注した経験のある方、きっと少ないと思うのですが。

増してや、その10万をやったこともない新技術の実績作りだの、練習台だのに消費されて全く使えない代物を渡されてしまったりしたら私だったら真っ直ぐ消費者庁に駆け込んでしまうかも。もちろんお相手も面白がってくれて、了承済みの冒険ならドンドンやるべきですが。

あと、今のWordPressはいくらWordPress使ったことあるって言ってる人でも保守ナシで作って渡すのはちょっと躊躇うなあ…と思ったりもしています。大丈夫いけるよって本人が言ってても。1年経っても2年経っても更新もメンテナンスもされていないサイトを私は少なからず知っています。.comならまだ良いかも知れない。

より簡易に作れたりフォローアップに優れた代替案があるので、もうそういうのはWordPress(.org)の役目じゃないよなあと思います。WordPressじゃないと案件なら10万じゃ作れないと思いますし。自動更新かけておいたって、アクセス情報を完全に紛失しちゃうクライアントに会ったことありませんか?私には本番サーバーを触る権限がなくアップデートボタンは押さないで編集権限アカウントで更新してって言っても押しちゃってメジャーアップデートのたびに連絡がくるクライアントへの対応に悩んでいます。サーバー会社に問い合わせかけるところから始めるリニューアルの辛さを知っている人とは呑めます。

お話を聞いた上で受託するのであれば慎重に丁寧に

だから、低価格のお話ほど、凄く慎重になるべきなんじゃないかなあと最近思います。高価格帯の案件ももちろん緊張するし慎重にお受けするのは当然ですが、チームの一員なので感覚ちょっと違うんですよね。(10万の案件を複数人で受けるのは中々難しい気がしますが、しかし、中にはそうしますというご回答もあって世界は広いなと思いました。)

知り合いだからこそ、ちゃんと見積り出して、何をもってゴールとするのかを明確にしてからスタートしたいですね。

うまくまとめる自信が無ければ、ヒアリングシート等など事前用意を万全に。というか自信が無いなら、頼れる経験豊富な先輩やお知り合いなど、泣きつけるバックアップを確保してから臨みましょう。そんな便利な人なんてそうそう居ない?じゃあ、自信は無いけれどやってみたいです、って正直にお相手に伝えてみて一緒に冒険してくれるかどうかを確認してから始めるのはいかがでしょう。

心優しい経験豊富な方々はどっちかっていうと上手い断り方を探りあぐねていらっしゃるかも。お断りするなら「忙しい」が一番良いと思うかもしれませんが、忙しくなくなってからでいいから、という謎の追い縋りをしてくださる方も結構いらっしゃったりもするので、八方丸く収めるお断りスキルも大事かも知れません。

誰か本気のWebの相談込みのサービスをやってくれませんかね…

ここまで読んでくれてありがとうございます。

まあ要するに、「10万円でWebサイト」の成果物の想定は一般人とプロだと全然違うんでお互い気を付けてねってことでしょうか。そこから、つらつらとあれこれ妄想しだしたら止まらなくなってしまいました。

これは、10万だからやるやらない、の話ではなくてWebサイトの相場観と仕事内容についての一般的な想像とのズレのお話ですので、あしからず。まあ段々とニーズが減ってAIが頑張ってくれて「おばあちゃんの時代ってそんな仕事あったの?」って孫に言われる未来が来ると良いなとも思いますけど。

ほんとは、困ったらココを紹介しよう!みたいなリンクを貼れたらなと思ったんですが2022年夏時点では万能なものが見つかりませんでした。

ココナラとかも実はそんなに悪く無いと思うんですが、そのもう一歩手前のところに一番ニーズがある気がするんですよねえ…。マッチングサービスじゃなくてどこに自分がマッチするのか教えてくれるサービス。ゴールがWebサイト制作に設定されてない、Web相談サービスあるといいですね。Webの総合窓口係、凄い大変そう。Wixとかの頭にこれが付いたら結構良いと思うんだけどなあ。AI(を育てる人)がんばって!

あとは、匠システムかなあ…お金そんなに貰えなくてもいいから新機能ゴリゴリに試したいエンジニアやデザイナーは少なからず居るので、仕上がりに文句は言わない念書付きでそことのマッチングを図るか…いやその前に相談窓口なんだよなあ…その場合の相談窓口だったらちょっと楽しそうかも知れぬ…面白くするにはたぶん予算額が一桁足らないけど…

その他、ぼくのかんがえたさいきょうの解決法をお持ちの方はぜひ #予算10万 とかで適当に呟いてみたりしてみてください。そっと読みに行きます。


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